概要

オーナーシップとリーダーシップ、Gaussyの新しい働き方 #02 【vol.13 中村遼太郎氏、ケイレブ クレイン氏】

ロジ人では物流テック(LogiTech)と分類される業界の著名人、サービスをインタビューしていきます。今回は、「物流の世界を新たなチャンスを生み出す場所」に変えていく、Gaussy株式会社のCEO 中村遼太郎さんと、CTOのケイレブ クレインさんにお時間を頂きました。#02では前職時代の経験から現在に至るまでの変遷についてや働く上で大事にしている価値観などを中心にお話をお聞きしていきたいと思います。

プロフィール画像(中村遼太郎氏)
Gaussy株式会社 CEO 中村 遼太郎 氏
2009年、三菱商事入社後、中国物流企業への投資業務を行う。その後、三菱商事ロジスティクスに出向し、中東中央アジアの物流事業の運営、新規営業に従事。2015年以降、三菱商事にて新規事業開発担当としてシリコンバレーへの派遣後、海外スタートアップ投資及び倉庫ロボットRoboware事業、倉庫シェアリングWareX事業を立上げ。
プロフィール画像(ケイレブクレイン氏)
▼ Gaussy株式会社 CTO ケイレブ クレイン 氏
1999年にFidelity Investments入社。 2004年から日本に在住。大規模な多国籍金融サービス企業、小規模な新興企業、および電気通信会社で勤務。 自身のテクノロジー会社を経営することに加えて、テクノロジー部門とマーケティング部門の両方でさまざまな役割を経験。 2018年に三菱商事に入社し、WareXの初期バージョンを構築。開発拡大のためテクノロジーチームの組織化を担当。

働き方と考え方の変化

- 三菱商事時代と現在を比べて働き方や考え方はどのような変化がありましたか。前職時代の経験から現在に至るまでの変遷をお伺いできれば幸いです。

中村さん:三菱商事時代との働き方や考え方の変化についてですが、実はそれほど大きくは変わっていません。三菱商事時代も新しい事業を始めることが多かったので、その点は同じです。例えばロボットの事業を始めたときには、私自身ロボットについての知識はあまりありませんでしたが、その後、Amazonの初期立上げを行ってきたメンバーや他のパートナーを巻き込み、共に事業を作ってきました。

三菱商事にいようが、Gaussyにいようが、新しい事業を始めること自体に変わりはありません。当時から自らが事業オーナーであるという意識をもって仕事をしていました。また、それぞれの環境で人々を巻き込みながら事業を作っていくことは、私自身が楽しいと感じています。ただ、CEOとしての立場になると、雇用に関する責任や、事業の成功や失敗が直接自分自身に跳ね返ってくるので、その責任感は以前とは違いますね。

ケイレブさん:私が感じているのは、三菱商事時代には大手企業のバックアップを得ていた点です。人事や他の業務を行う際に、多くのサポートを受けていました。しかし、Gaussyでは全て自分たちで立ち上げて行く必要があり、その点での責任感が増しています。また、三菱商事という名前が付いていると、多くの人々が肯定的に対応してくれることもありますが、Gaussyでは最初から説明する必要があります。

ー 三菱商事でもオーナー意識をもって仕事をしていたとお聞きしましたが、視座をどのように高く持たれていたのでしょうか。

中村さん:視座は高くないです。自分たちが何をしたいのかをしっかりと持っていて、そのために働いています。私たちは自分たちのビジョンを掲げ、それを実現するために日々努力しています。視座が高いということより、やりたいことに対してオーナーシップをもってやるべきで、そのためには環境が大切と考えています。

インタビューの様子1

ー 環境に感謝すべきということですね。

中村さん:そうですね、三菱商事においてもやりたいと思ったことをやらせてくれた上司がいて、やりたいと思ったときに目を見てやってみろと言ってくれるメンバーがいたことにとても感謝しています。素晴らしい人達と事業を進める為に、想いがあることが大事だとその時に感じました。

ー 感謝の気持ちをもって発信することは難しいと思いますがやってみたいと思います。 

中村さん:確かに難しいですよね、私たちもCxOミーティングで議論していますが、やはり発信することは難しいです。自分自身は楽天的に発信できるタイプではないのですが、社内にメッセージを発信することは意識しています。事業が拡大し、メンバーが増えると、文化や価値観を浸透させることが非常に重要になってくるからです。

オーナーシップとリーダーシップの重要性

- 働く上で最も大事にしている価値観を教えて下さい。

中村さん:Gaussyで定めている「5Values」という価値観を重視しています。これは、まず一つ目として深く考え抜くこと、そしてそれを未来視点で仕組み化し、オーナーシップをもつことです。そして、敬意をしっかりと払うこと、そして最後に、謙虚で真っ直ぐに物事を進めること、という価値観を持つことを大切にしています。

Gaussyの5Values

特に最近では、「リーダーシップ」を重視するようになりました。オーナーシップは環境によって持つことができますが、リーダーシップはあくまで結果として現れるものだと思っています。リーダーには必ずフォロワーが存在します。例えば、Twitterのように情報を発信し、それに共感してくれる人たちが集まってきます。そのように、重力のようなものが働き、フォロワーが集まってくる。この現象は、本来的にオーナーシップを持っている人だけが、結果リーダーになれると思っています。

Gaussy経営陣の仕事は、オーナーシップを持つことができる環境を提供し、一緒に働くメンバーがリーダーになっていくことを目指しています。例えばマネージャーとリーダーは違います。マネージャーは権限で組織をまとめ、コスト管理を行いますが、リーダーは「こうしたい」というビジョンを示す人です。そういう人が集まってくるのが理想的です。我々はオーナーシップを持つことができる環境を提供しますが、最終的には自分のビジョンを持ったリーダーシップある人材がもっと集まるといいなと思っています。

ケイレブさん:中村のリーダーシップやオーナーシップについての考え方は非常に重要です。私の価値観を表現するのは難しいですね。自分自身が置かれている状況を見て、「これは良くない」と感じるのは簡単ですが、状況を改善することは難しいです。私たちは、そのような状況を改善するための考え方を持っている人たちを求めています。未来を見つめ、現状を少しずつ改善していくことが大切だと考えているからですね。

ー つまり、絶えず改善し続けるという姿勢が大切なのですね。

 中村さん:はい、その通りです。我々は常に完全ではない状態にあると認識し、それを改善し続けるという姿勢を持つことが、組織の成長と発展を支えています。それぞれのメンバーが、自分の役割に対するオーナーシップを持ち、自分の仕事に対するリーダーシップを発揮することで、組織全体としてのパフォーマンスが向上します。この価値観こそが、Gaussyの成功を支えてくれると信じています。

ー 初期メンバーについて質問させてください。CTO のケイレブさんは WareX の初期バージョンを構築した方と存じております。CPOの空久保さんは外部からの参画かと思いますが、みなさんはどのような出会いで参画が決まったのですか。

中村さん:2018年にFlexeと協業し日本に展開する際に、彼らのソフトウェアを日本に持ってくれば成立するのではないかと思っていました。当たり前ですが、商習慣や事業ステージの違いから、簡単ではなく、実際は頓挫しました。当時、私自身はデザインもプロダクトマネジメントもわからなかったので、誰か知見を持った人が必要だと思い、エンジニアの募集を始めました。30人くらい会って、必死にビジョンを伝え、ケイレブと出会うことができました。

ケイレブさん:我々のビジョンに賛同し、それに共感することができる人々を探すのは簡単ではありませんでしたね。私自身も、このプロジェクトに参画することを決めるのに時間がかかりました。しかし、最終的には、我々の取り組みが社会に大きな影響を与える可能性を信じ、参加を決めました。

 Gaussyには現在、CxOは3人いますが、CPOの空久保も同じように、物流業界が面白いと感じ、そして我々のビジョンに共感してくれました。彼らはそれぞれの分野で豊富な経験と知識を持っており、我々のチームに大きな価値をもたらしています。彼らの存在が、我々のビジョンを現実のものにするための重要な一歩であると信じています。

インタビューの様子2

組織の価値観とインターナショナルなチーム

- 貴社のインターナショナルなチーム組成について教えて下さい。貴社にはどのようなバックグラウンドをお持ちの方々がいらっしゃるのでしょうか。また、組織の多様性がもたらすメリットはどのようなことがありますか。

ケイレブさん:ソフトウェアの開発、プロダクトの設計チームは15か国以上の多様性あふれるメンバーになっています。全員、日本に居住していますが、英語をベースにしたコミュニケーションで、日々ソフトウェアを開発しています。

ー 個を活かすために、チームをどのように運営すれば良いのでしょうか。

中村さん:私たちも日々悩んでいます。多くの経営者が同じ悩みを抱えていると思います。素晴らしい状態とは、会社からのミッションと個々のメンバーのやりたいことが一致している状態です。会社としては事業環境や制約もありますので、言語化してすり合わせることが必要です。チームメンバーがお互いをリスペクトし続け、間違えた場合には謝ることも大切です。

ケイレブさん:間違いに気づくことは重要です。開発の過程では、間違いがあってもすぐに修正できます。ただし、プロダクトによっては異なることもありますが、柔軟性を持って対応することが求められます。異なる国籍を持つメンバー同士では、意見の対立が生じることがあります。国や企業ごとに考え方が異なるため、互いをリスペクトしながらコミュニケーションを図ることが重要です。

<取材・編集:ロジ人編集部>

次回の“Roboware、WareXの全貌と新たなるチャンスは #03″は 7/7(金)公開予定です!お楽しみに!!

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