概要
日本初!デジタルフォワーダーの挑戦 #01 【vol.12 佐藤孝徳氏】
ロジ人では物流テック(LogiTech)と分類される業界の著名人、サービスをインタビューしていきます。今回は、株式会社ShippioのCo-Founder&CEOであり、国際物流の効率化を推進していらっしゃる佐藤 孝徳さんにお時間をいただきました。#01では国際物流を手がける意義についてお聞きしていきたいと思います。
▼ 株式会社Shippio Co-Founder&CEO 佐藤 孝徳氏
新卒で三井物産株式会社に入社。2016年6月、株式会社Shippio(旧サークルイン)を創業。日本初となるデジタルフォワーダーとして国際物流のデジタル化を推進、推進、業界のアップデートを手がけている。
島国の生活に欠かせない国際物流
ー 貴社Shippio(シッピオ)を立ち上げた理由について教えてください。
一見すると国際物流や貿易は「わかりづらい」「とっつきにくい」と思われるかもしれません。ところが皆さんが着ている服やスニーカーは、多くのものが海外から輸入されています。生活の中で欠かせないあらゆるモノが、輸出入あるいは貿易を経ていると思っていただければ、身近に感じていただけるでしょうか。
国内の物流業界のスタートアップというと、配送やラストワンマイル、EC分野の企業のイメージがあると思います。
一方で日本は島国のため、輸出入はなくなりません。よって、この領域は生活のインフラに関わる大変大きな産業です。しかし、2016年の創業当時、この領域の課題解決に取り組んでいるスタートアップはあまりありませんでした。この国際物流あるいは貿易領域の課題をデジタルで解決し、DXを推し進めれば、社会貢献のインパクトが大きいのではないかと思い、本領域への挑戦を決めました。
Shippioが取り組む3つの挑戦
ー 具体的にはどんなサービスを提供されているのでしょうか。
事業内容は、大きく3つあります。
1つ目はデジタルフォワーディングのサービスです。クラウドサービスとフォワーディングを併せて提供するものです。
ITシステムは、UX/UIが優れているため感覚的に操作できます。そこで、見積発注、本船動静などのスケジュール管理、チャットの機能等を提供しています。これによりお客様の「貿易業務の効率化」が可能になります。
※ UX=ユーザーがサービスや製品を通して得られる体験
※ UI=視覚情報などサービスや製品とユーザーの接点
さらに、Shippioは第一種・第二種の貨物利用運送事業者の免許を取得しており、フォワーディング(オペレーション)も提供しています。このITシステムとフォワーディングの両軸でサービスを提供していることが、大きな特徴となります。
2つ目の事業は2023年1月にリリースされた「Any Cargo(エニーカーゴ)」というSaaSサービスです。我々をフォワーダーとして起用せず、Shippioのクラウドサービスのみをご利用いただけます。
最後に、通関事業も推し進めています。海外旅行から日本に帰国するとき、黄色い縦長の紙の税関申告書を書くと思います。通関業務はそのBtoB版だと思ってください。BtoBだと内容も専門知識が必要となるため、書類の準備や通関に関わる申請の代行を請け負う会社が必要になります。それが通関事業者です。昨年の通関業者の協和海運株式会社との協業をきっかけに、デジタル通関の実現に向けて準備を進めているところです。
コロナ禍を通じた国際物流の今
- 最近の国際物流について、佐藤さんの注目するトピックを教えてください。
コロナ禍の前と後では、国際物流の課題に変化がありました。コロナの期間は、コト消費からモノ消費に需要がシフトし、貨物を運ぶ船のスペースが不足したり、船の輸送費がものすごく高騰し、混乱が起こりました。
例えば一時期、マクドナルドのポテトがSサイズしか食べられないことがありましたよね。この事例も輸出入に関わる問題のひとつです。モノがスケジュール通りに届かないという混乱と課題が目立ちました。
現在は、その混乱も落ち着いてきましたが、コロナ期の混乱を経て、いつモノが届くのか早めに情報を取得したり、情報の管理をクラウドで解決し、工数削減に重点を置く荷主さまが増えました。業務効率化が新たに注目されると同時に、サプライチェーンや物流など国際物流の可視化が大事だと改めて認識されたタイミングだと思っています。
グローバルな視点では、アメリカのFlexport(フレックスポート)、ドイツではForto(フォート)がフォワーディング×デジタルという、直接参入型のスタートアップとして台頭しています。
ここ10年弱で、国際物流においてもスタートアップの台頭やデジタル・ソフトウェアと実業との連携が進みつつあり、注目すべきトピックのひとつだと捉えています。
ー 国際物流について、難しくわかりづらい印象が払拭されました!次回はShippioを支える仲間集めのコツと成長の源泉について、また日本の起業文化とスタートアップで一歩リードする人の特徴について伺いたいと思います。