概要

人と差がつく!できるビジネスパーソンの特徴 #03 【vol.11 進藤 智之氏】

ロジ人では物流テックと分類される業界の著名人、サービスをインタビューしていきます。今回は株式会社メルカリで執行役員 VP of Logistics Marketplaceを務める進藤智之さんにインタビューをしていきます。#03では、若手ビジネスパーソンが活躍するためのアドバイスをお聞きしていきたいと思います。

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株式会社メルカリ執行役員 VP of Logistics Marketplace 進藤 智之氏
大学卒業後、ヤマト運輸に入社し、法人支店長を経験。2007年には日本IBMにて、コンサルティング事業部にて運輸・物流のプロジェクトを担当する。2013年にアマゾンジャパンに参画し、物流ネットワークの立上げ責任者を務める。2020年、イオンネクスト準備株式会社にて理事物流部長に就く。その後、2021年にメルロジ代表取締役COOに就任し、2022年2月より現職。

求められるビジネスパーソン

- 今、終身雇用が揺らぎつつある中で個人がスキルを身に付けていく必要性が高まっています。今後求められるビジネスパーソンに必要なスキルを教えてください。

一般的な話でいえば、ハードスキルの面ではプログラミングがある程度できることが必須だと思います。ソフトスキルに関してはコミュニケーション能力や問題解決能力、リーダーシップ。これはロジスティクスに関係なく、マストな能力です。

プラスアルファで私がすごく重要だと思うのは「プリンシプル(原理原則)」です。要は何を大切にするか、考え方をしっかり持つことが重要。例えば「やれる」と「やる」って似てるけれども、違うじゃないですか。「好き」と「得意」も似ているようで違います。実はここに大きな差があります。

例えば私が当時勤めていたアマゾンジャパンで、ラストマイルのネットワークを日本全国に3年間で広げようとしていたときのことです。過去にチャレンジした会社がないため、方法論はありませんでした。目的を持って「やり遂げよう」とみんなでいうのですが、どこかで「やれない」と思っている人が大半だったと思います。なぜならば、経験がないからです。私も経験はありませんが「必ずやれる」と信じていました。

そこをカスケードしていくと、最上位に信じる心があって、次に成し遂げるための強い心があります。比較的、成し遂げる心まではみんな持っているのですが、その上の「必ずこれを達成するんだ」と信じきる気持ちが足りない人が多いと感じます。できるとイメージして信じているからこそ、成し遂げられない課題が発生しても解決しようという心が働きます。信じているからです。どこかで「できない」と信じている人は、壁にぶち当たったときに「やはりできないよね」といいます。

ハードスキルやソフトスキルに関しては、上司に相談しても、自己啓発本を読んでも、ほぼ同じ答えが返ってくるはずです。そうなるとみんな同じスキルを伸ばすでしょう。圧倒的違いを見せるためには、この「プリンシプル」を自分の中に持つことが大事だと思います。

フットワークの軽さが鍵

ー どのように「プリンシプル」を見つけていけば良いのでしょうか。信念みたいなものっていきなり降って湧いてはこないので、見つけるまでに時間がかかりそうです。

確かに「信念」という言葉で捉えると、難しいですよね。何を大切にするかを考えればいいと思います。また「信念」も変化します。変わっていかなければ、その時代で生きていけません。優秀な人は頭がいいからこそ、自分だけで結論を出してしまう部分があります。

しかしそれでは経験則にとどまってしまい、大きな広がりは生まれません。いろんな人に話を聞いて、考え方に変化が生まれれば判断はより生きてくると思うのです。

-「プリンシプル」を探りながら、広がりも意識していきたいです。若手ビジネスパーソンが仕事で活躍するには、具体的にどのような働きをしたら良いかアドバイスをください。

成長企業であれば、たくさんのオポチュニティーがあります。日本人は「どう、この仕事やってみる?」と聞かれた際に、自信が8割ほどないと躊躇してしまうんですよね。でも3割できると思ったら、飛び込んだほうがいいです。

- 3割ですか!

はい! 3割の感覚でオポチュニティーを掴んでいった方がいいと思います。3割の成果で回して、残りの7割は走りながら形成する。

本人が8割の自信を持つころには、他の”やれる”人に仕事が回ってしまうんですよ。その”やれる”人というのも、実際には8割”できる”人ではないことが大半だと私は思いますけどね。まだ成熟しきっていない企業の仕事は、栄えたり、衰えたり、人が入れ替わったりと生き物のような側面がありますから、そのスピード感についていかなければなりません。

例えば3割ほどで作ったドキュメントで上司に壁打ちした方がいいです。8割作り上げたところで、生まれも育ちも違うし、意思の疎通なんてできないじゃないですか。はずれることも多いので、コアの部分だけ作って壁打ちを繰り返すのが一番早いと思います。

ー 新卒から物流に携わってこられた進藤さんから見た業界の魅力を改めて教えてください。

皆さん、気づいていないのではないかと思いますが、ロジスティクスで習う考え方は応用がききます。

例えばトポロジー。つまり物流拠点をどこに置くか考えるための分析ですね。人口が多いところ、あるいは荷量が多いところ、いくつかの指標がある中で最適の場所を分析し、配置します。これは小売業界で出店する際にも通ずる考え方です。需要がある場所にビジネスは生まれるので、物流業界以外であっても応用がききます。この考え方のベースはロジスティクスの世界からきている学問なんですよね。

だからロジスティクスで積み上げた経験があると、他の業界でも活躍できます。思考のチェンジができればかなり応用できると思っているので、ロジスティクスの世界に新卒の方が最初に足を踏み入れるのは、正解だと思っています。

物事の本質は細部に宿る

- 進藤さんは「お客様が求めていることに対し、サービスがどうあるべきかの追求」を仕事の軸にしているとおっしゃっていました。(#01より)詳しくお聞かせいただけますか。

物事の本質は細部に宿ると思っています。細かな部分や基本をどこまで突き詰められるかが重要です。

よく講義で「アマゾンの物流ってすごいですよね。どんなことをしているのですか」と質問を受けます。その際、私はいつも「5Sと挨拶だけ徹底している」と伝えます。「特別なことは何もしていません」と。日本全国に約30拠点の自社物流センターがあって、チリ1つ落ちていないってすごいですよね。その徹底された5Sが意味するのは、毎日基本を遂行し続ける強さです。ベースに「当たり前のことを当たり前にやり続ける強さ」があってこそ、難しい課題も乗り越えられます。

準備運動をせずに急に激しい運動をしたら、怪我をするのと一緒ですね。メルカリのアプリにしても、どうすればお客様にとってのペインを解消できるのかを考え、細かい部分にも取り組む姿勢は大切にしています。

- 最後に、今後メルカリの会社として挑戦していきたいことや実現したい世界観を教えてください。

メルカリはBtoCをメインにしているECとは、お客様の期待値がまったく異なります。メルカリを軸として「今までの経験は間違っていたのではないか」と疑うところから、新たな物流プラットフォームを構築していきたいと考えているのが今の展望です。

具体的にはお客様のニーズから着想を得た「ゆっくり便」がそのうちのひとつです。もう少し時間に猶予を持って、すべてのステークホルダーにとって優しい物流、優しい社会を作っていきたいと考えています。一方で早く商品が手元にほしい人も、もちろんいらっしゃいます。では早くほしい人には、どのように届けるのか。とにかくお客様にとっての選択肢をたくさん増やしていくことを軸として、サービスを展開していきたいです。

まだお話しできないこともたくさんあるのですが、ぜひ楽しみに待っていて下さい!

ー 楽しみにしています!ありがとうございました。

ロジ人編集部の小早川さんと進藤さんで記念撮影

<取材・編集:ロジ人編集部>

次回は 6/2(金)公開予定です!お楽しみに!!

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